株式会社NTT e-Drone Technologyは2026年9月29日、農業用ドローン「AC102」「AC101 connect」向けの新しい粒剤散布装置「S13」を発表しました。同社によると、従来装置と比べて最大吐出量を約2.5倍に高め、肥料・農薬・鉄コーティング種子などに対応し、剤切れを自動検知して散布を停止する機能も備えます。数字だけを見ると「散布作業も2.5倍速くなる」と考えたくなりますが、実際の圃場作業ではそう単純ではありません。
吐出量は「1分間に出せる量」の能力
散布装置の吐出量は、単位時間あたりにどれだけの粒剤を送り出せるかを示す性能です。必要な散布量が多い肥料では、吐出量が不足すると機体の飛行速度を落としたり、散布幅を調整したりする必要が出ます。そのため吐出能力が上がれば、これまで装置側がボトルネックだった作業を速くできる可能性があります。一方、必要量が少ない薬剤では、最大吐出量まで使わないこともあります。最大値が大きいことと、すべての作業が同じ比率で速くなることは別です。
圃場の所要時間には補給と旋回も入る
実作業では、粒剤をタンクへ入れる時間、バッテリー交換、圃場間の移動、散布開始前の確認、端部での旋回など、粒剤を出していない時間も発生します。さらにタンク容量が同じなら、短時間で多く吐出するほど補給回数が効いてくる場合もあります。反対に、剤切れを自動検知して散布を止める仕組みは、空のまま飛び続けるようなミスを防ぐ面で作業の確実性に関係します。
見るべき数字は「1haを終えるまでの時間」
導入を検討するときは、最大吐出量だけでなく、自分が使う肥料や農薬の標準散布量、圃場の広さ、補給回数、飛行速度、バッテリー運用まで組み合わせて考える必要があります。カタログ上の一つの数値より、現場条件で1haを完了するまでの総時間を比べる方が実務的です。
人に話せるポイントは、散布装置の「2.5倍」は装置の最大吐出能力の話であり、農作業全体がそのまま2.5倍速くなるという意味ではないことです。ドローン農業では、飛行中だけでなく、補給や交換まで含めて作業時間を見ることが大切です。

