株式会社センシンロボティクス(本社:東京都品川区)は2026年9月24日、中部電力パワーグリッド株式会社(本社:愛知県名古屋市)との共同研究成果をもとに、送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」へ3次元点群データを使った安全航路設計機能などを実装したと発表しました。送電線や鉄塔の周囲には樹木や地形があり、自動飛行を行うには「線を引けば飛べる」わけではありません。
飛行ルートには「空けておく距離」が必要
ドローンの経路設計で重要なのが、障害物との離隔距離です。地図上で鉄塔から少し離して線を引いても、実際の現場では樹木が伸びていたり、斜面が張り出していたりします。今回の機能では、LiDARや航空測量で取得した3次元点群と飛行ルートを照合し、設定した上下・左右の離隔を満たさない場所があれば警告し、安全側へルートを補正します。
点群は、現場を無数の3次元座標の集まりとして表したデータです。写真のように「見た目」を記録するだけでなく、対象物がどこにあるかを距離として扱えるため、経路との衝突判定に向いています。
点群があっても、古ければ現場とずれる
ここで見落としやすいのが、点群データにも鮮度があることです。発表では、支持物ごとに点群の計測日を管理し、樹木の成長や地形変化に応じて更新する運用が示されています。半年前の点群に障害物がなかったとしても、現在も同じとは限りません。自動化とは、人の確認をゼロにすることではなく、どのデータを根拠に判断したかを明確にすることでもあります。
3Dで考えると飛行計画の意味が変わる
飛行経路は平面図の線だけではなく、高度を含む3次元の通り道です。さらに機体そのものの大きさ、GNSSや制御の誤差、風によるずれも考え、安全側に余裕を持たせます。送電設備点検の事例から分かるのは、点群の価値が「きれいな3D表示」にあるのではなく、現場との距離を数値で考えられることにあるという点です。自動飛行が増えるほど、ルートそのものより、そのルートにどれだけ安全余裕を持たせたかが重要になります。

